04FSCW第15号
2004年3月23日
内閣府食品安全委員会事務局評価課内 
添加物の食品健康影響評価」意見募集担当 御中
食の安全・監視市民委員会
代表 神山 美智子
東京都早稲田町75日消連気付け
п@03−5155−4765
 

「ナタマイシンの食品健康影響評価についての意見」
意見:抗生物質を食品添加物に指定すべきではない。理由は以下のとおりである。

 EU食品科学委員会(SCF)における評価中「ヒトや動物用の医薬品に用いられる抗生物質は、一般に食品に使うべきではない」との考え方に同意する。わが国においても、食品衛生法に基づく「食品・添加物の規格基準」第1 食品 A食品一般の成分規格1に「食品は、抗生物質を含有してはならない」と定めている。

これは「細菌の耐性獲得、モニリア症の発現等考慮すべき問題を含んでいるとともに、抗生物質の使用方法、防腐的効果等についても今後の研究にまたなければならないので、抗生物質を食品に添加使用する場合には極めて慎重を期する必要があると考え、今回とりあえずこれらのものを食品に添加使用することを全面的に禁止した(昭和31年公衆衛生局長通知)」という理由による。

昭和31年にすでに耐性菌出現が危ぶまれており、今日まで、その危険が取り除かれたという科学的証拠はない。ただ単に、耐性菌出現の報告がないとか、耐性は獲得しないであろうなどという希望的観測に止まっている。

 EU等酪農が盛んな国においては多種多様なチーズが作られ、消費者もチーズの摂取に習熟しているものと思われる。しかしわが国ではチーズに対する需要がそもそもあまりなく、チーズのリンドなどという用語も一般には知られていない。チーズを食する際、ワックスごと食べようとした人さえあるのが実情である。このような状況の中で、わが国において、チーズ用に使用を限るほど安全性に問題のある食品添加物を指定する必要性はない。ナタマイシンは、外国から抗生物質使用チーズを輸入するためだけに必要とされている食品添加物にすぎず、わが国の消費者には何の利益もない。

 したがって指定のためにADIを設定する必要もないが、仮にADIを設定するのでれば、JECFAが0〜0.3mg/kgと定めていることを参考に、限りなく0に近い数値を設定すべきである。もっとも緩やかな0.3を用いることには科学的・合理的な根拠がない。むしろEMEAにおける評価に従い、イヌの2年間反復投与毒性試験の結果を用いて、ADIは0.06mg/kgとするべきである。

2001年にADI変更のないことが確認されたのであれば、なおさら、0〜0.3のうちで低い値の採用を考慮すべきである。なぜなら、評価に用いられた資料は非常に古く、圧倒的多くは30年以上前の60年代、70年代のものであり、59年のものさえ含まれている。このような新しい資料の不足を克服するためには、予防的取り組み方法を採用し、もっとも小さいADI(0.06)を採用することこそ科学的かつ合理的な方法だからである。

 現在食品安全委員会では、動物用医薬品・飼料添加物の耐性菌問題を審議中である。これは病院における抗生物質使用や、処方され家庭で使用される抗生物質の過剰・不要使用にとどまらず、動物用に使用される抗生物質による耐性菌出現を防ぐためのものである。
このような時期に、抗生物質を食品添加物として指定しようとすること自体、時代錯誤も甚だしいと言わざるをえない。なお審議の過程で、上記動物用抗生物質の評価指針を準用して評価したと報告されているが、本案にはそのような事実の記載がない。前期評価指針は、OIEの指針を参考に作成されたもので、食品添加物の評価に用いられるべきものではない。

 すでに述べたように、わが国には多種多様なチーズを日常的に食べる習慣はなく、チーズと一緒に抗生物質を摂取することを嫌う消費者が、チーズの周囲を切り取って捨てるなどの行動をとることも考えられる。その場合、抗生物質がたやすくゴミに混入し、ゴミに含まれる雑菌に耐性突然変異が誘起され耐性菌が出現することもありうるが、そのような状況は考慮されていないと思われる。
以上

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