07FSCW第13号
2007年7月31日

厚生労働省医薬食品局食品安全部
基準審査課新開発食品保健対策室 御中
食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-9-19-207
NPO法人 日本消費者連盟気付
Tel 03-5155-4765 Fax 03-5155-4767

「健康食品」の安全性確保に関する意見

○食の安全・監視市民委員会 
○代表 神山美智子
○「健康食品」の安全性確保に関する意見内容

 第一回の検討会で、委員の方々からさまざまな問題点が指摘された。我々が以前から指摘してきた部分と共通する点も多い。GMPや安全性確認のフローチャートがガイドラインに過ぎず、健康食品事業者のうちどれほどが遵守しているのか把握できていない。被害の未然防止の対策が不十分。食薬区分リスト作成において量の概念がない。健康被害のモニターで見逃し例が多い。健康食品等の商品に対して明確な定義が無い等々。

事務局の方から「(健康食品は)食品なので医薬品のような流通規制はなじまない」という発言があったが、市販のいわゆる健康食品を食品と規定したのは、2001年の46通知の見直しによる。安全性確保を強化し、被害の未然防止を含めて検討するためには、健康食品を食品として取り扱ってよいのかという点も課題に含めて検討すべきであると考える。
 以下5点、健康食品に関する現在の制度によって起きている安全性の問題を指摘したい。


1)食薬区分で量の概念がない
 第1回検討会の参考資料1での食薬区分通知では、量によって有効性・安全性が変化するという概念が含まれていない。
 例え海外で食経験があるものであっても、過剰に摂取することで深刻な健康被害を起こす可能性があることについては、2002年に起きたアマメシバによる閉塞性細気管支炎の例が挙げられる。現在の制度では、なんらかの有効性を期待させて使われている成分について、事前の有効性・安全性の検証は義務化されていない。

 2006年に食品安全委員会で、トクホとしての大豆イソフラボン含有量の検討が行なわれたが、そのきっかけは、メーカーがトクホとして申請を出したことによる。その以前から、より大量なイソフラボンを含有させた健康食品が食品として販売されており、トクホの申請が出なければ、安全な含有量の検討もなされることは無かった。つまり現在の健康食品の制度では、安全性の事前確認はなく、被害の未然防止は不可能なのである。

 食薬区分では毒性が強く医薬品的にしか使えない成分について「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に分類し、食品への使用が禁止されている。しかし、その分類の科学的根拠とその情報開示はきわめて不十分な点であり、国民の不信を招いている。たとえばサイシンという生薬で、アストロキア酸という腎障害を起こす成分を含むため医薬品としても使用が禁止されている葉や茎の部位が、2007年4月まで食品に使用できる成分として分類されていた。我々監視市民委員会は、2006年10月にこの問題を指摘し、このような誤分類といえる過ちが起こった経過の説明を求めたが、未だに何の回答もないばかりか、経過も理由も不明のうちに、植物体全部を医薬品とするように変更されてしまった。


2)被害者救済制度がない
 第2点として、以上のような健康被害に関する未然防止が不十分な点に加え、実際に健康被害と思われる事態が起きた場合、一時的販売停止措置などの手続きはできているものの、重篤な被害を受けた消費者に対する公的な救済制度が存在しない。現にアマメシバによって閉塞性細気管支炎を起こしほぼ寝たきり状態になっている被害者の方たちは、現在4年にわたり、メーカーを相手取り民事訴訟を闘うことを余儀なくされている。

 医薬品の場合であれば、公的な被害者救済制度がある。再度「食品であるため救済制度はなじまない」という意見があるかもしれないが、アマメシバをはじめ健康食品は、何らかの効能効果を期待させていることが明らかであり、食品と医薬品に区別すれば、医薬品に近いといえる。健康食品を食品として分類しているのは行政上の判断によるもので、食品だから救済できないということであれば、健康食品を食品と分類することを変更すべきだと考える。


3)健康食品は医薬品の範疇で規制すべき
 健康食品の安全性を確保するためには、やはり医薬品のサブカテゴリーとしたほうがよいと考える。上記のように効能効果を期待させ、かつ特定の成分を増量している点において、健康食品は明らかに従来の食品とは違う。一般食品と健康食品をどのように区別するかについては、食品中の特定成分を意図して濃縮、抽出、増量加工したかどうかで区別できる。食薬区分でも、そもそも食品に自然に含まれる場合については、「明らか食品」として食品に分類している。しかし濃縮・抽出などの加工を行い、特定成分の増量などしている食品は、そのほとんどが何らかの効能効果を持たせることを意図している。明らかに別の意図で成分加工した場合を除き、原則医薬品の範疇で規制するほうが、法的にも把握しやすい。


4)海外では、すべて食品として扱っているのか?
 海外の事例も医薬品的規制をしているのではないかと思われる。 第1回検討会資料2で、EUのフードサプリメント制度の紹介があったが、そこでは、ビタミンやミネラル成分について、その種類や上限下限値だけでなく、その製造法に関してもポジティブリストを作成し、規制しようとしている。ビタミン剤でのこのような規制は、現在日本の制度でいえば、栄養機能食品というよりは、医薬部外品のビタミン剤の規制に近いと思われる。

 また、EUの規制ではもう一つ、2004年3月に伝統的ハーバルメディスン製品指令が可決されている。これは医薬品の一部に伝統的生薬製品というカテゴリーを作り、30年以上の使用実績(EU内で15年以上)があるものについては、臨床試験などを義務付けず承認手続きを簡素化するというものである。この規制の方法は、日本での漢方薬に近いのではないだろうか?
 また、カナダでの健康食品にあたる、National Health Productsという制度については、基本的に医薬品として規制し、GMPや、市販前の審査認証を義務付けている。


5)健康食品という名称への疑問
 そもそも健康食品という名称に矛盾がある。一般食品は生活に必要で多様な栄養素を摂取するという意味ですべて健康食品であり、食品衛生法に定める有害細菌や違法添加物・農薬などに汚染されていない限り。基本的に安全な健康食品である。しかし何らかの効能効果を意図して成分を増強したものは、安全であるかどうかについては、検証が必要である。法律上食品として分類されているから安全だとはいえない。効果があることの裏には副作用のリスクがある。その意味で「安全な健康食品」と「効果のある健康食品」は、必ずしも同一でない。安全かつ有効性のある「健康食品」は、医薬品的検証と品質管理を受けてこそ安全性が保証され、健康被害が未然に防止されると考える。

 さらに、健康食品の表示、広告も医薬品の範疇として扱われることでより分かりやすくなり、被害が発生した場合の回収や情報提供もより効率的に行われることになる。

以上

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