違法な遺伝子組み換え食品添加物の流通に関する質問状に対する回答(厚労省)

平成24年5月7日

特定非営利活動法人日本消費者連盟
食の安全・監視市民委員会         御中
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン

厚生労働省医薬食品馬食品安全部
監視安全課
監視安全課輸入食品安全対策室
基準審査謀新開発食品保健対策室

平素より大変お世話になっております。貴団体よりご質問いただきました件につきまして、別添のとおり回答いたしますので、ご査収ください。この度は、回答までに時間を要しましたこと、お詫びいたします。

1.今回違法流通が判明した遺伝子組換え食品添加物やそれらを用いた加工食品を今後、回収する予定はありますか。予定があればそのスケジュールを、予定がないなら回収しない理由をお答えください。
○5’-イノシン酸二ナトリウム、5’-グアニル酸二ナトリウム、5’-リボヌクレオチド二ナトリウム、リボフラビンについて
食品衛生法(以下、「法」とします)に基づく、安全性の審査を経ていないことが判明Lたため、これらの添加物については食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼していましたが、食品安全委員会からの答申において安全性に問題はないものと確認されました。その答申を受け、これらの添加物とこれらの添加物を使用して製造された食品の輸入、販売等を行うことは差し支えないと判断しております。
○キシラナーゼについて
製造に関する詳細な情報を系列開発企業が保持しているため、当該事例が判明した時点では食品安全委員会の評価に必要な資料の入手が困難であり、安全性に関する情報が直ちに確認できないため、キシラナーゼについて輸入、販売を取りやめるよう指示するとともに、同社を所管する自治体を通じ、キシラナーゼ及びキシラナーゼを用いた全品の回収を指示しました。

2.食品衛生法には罰則規定がありますが、未承認の遺伝子組み換え添加物を輸入販売したBASFジャパンやCJジャパン社に対して、罰則規定を適用しましたか。適用したなら、どのような内容ですか。適用しなかったとしたら、その理由をお答えください。
両社から提出された情報を分析したところ、5’-イノシン酸二ナトリウム、5’-グアニル酸二ナトリウム、リボフラビンについては、食品衛生法に基づき定められた個別の添加物の成分規格を満たしており、リボフラビンについてはさらに日本薬局方及び欧州薬局方に基づき定められた成分規格に適合していること、また、いずれの添加物もすでに国外を含め広く利用されている中で安全上問題となる情報が確認されていなかったことから、手続上の不備と判断し、罰則規定を適用せず食品健康影響評価が終了するまでの問、輸入者に対して輸入、販売の取りやめを指導したものです。
キシラナーゼに関してはこれを用いた食品も含め、BASFジャパン株式会社を所管する自治体を通じ、既に回収を指示したところです。

3.企業に対して法令遵守するための指導はどのように行っていますか。具体的にお答えください。
従来より、厚生労働省では、新たに遺伝手組換え食品及び食品添加物を製造、輸入等を行う際には法第11条第1項に基づく「組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続」(平成12年厚生省告示第233号)第3条に定める安全性審査を経ることが必要である旨、添加物の輸入者並びに添加物製造業者及び業界団体に対して、周知を図ってきたところです。また、法第23条に定める本年度の「輸入食品監視指導計画」において、検疲所における輸入者に対する必要に応じた確認指導を明記しました。
今回の事案を受け、遺伝子組換え技術の応用が確認されているものと同様の添加物の輸入者並びに添加物製造業者及び業界団体に対して、法第11条第1項に基づく告示「組み換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続き」第3条に定める安全性を経ずに、遺伝子組換え微生物を利用した添加物及びその製剤を製造し、輸入し、販売することは、同法第11条第2項に違反することを改めて周知徹底しました。また、上記輸入者及び添加物製造業者に対し、製造・輸入する添加物への遺伝子組換え技術の利用の有無を検疫所、都道府県等を通じて確認・報告するよう指導し、その結果は、平成24年3月1日付けの報道発表資料「食品衛生法に基づく安全性審査を経ていなかった遺伝手組換え微生物を利用した添加物についての対応(第3報)」にて公表したところですが、この度、協和発酵バイオ株式会社による詳細な調査の結果、「L-フェニルアラニン」について同様の事例が判明しましたので、所管の保健所より同社に対して、販売先への情報提供を行うとともに、その提供を受けた事業者が加エ販売することを自粛するよう指示がなされました。また、本事案を踏まえ、「L-フェニルアラニン」を取り扱う輸入者及び添加物製造業者に対し、再度の調査及ぴ報告を指示しました。

4.今回違法な遺伝子組み換え食品添加物を使用した企業名もしくは商品名を公表しない理由をお答えください。
国内に流通する食品で違反が発見された場合については、一義的には、所管の自治体が「食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針」に基づき、個別の案件ごとに対応を検討することとなります。
なお、今回の問題が発覚した際に、5’-イノシン酸二ナトリウム、5’-グアニル酸二ナトリウム、及びこの2つの混合物である5’-リボヌクレオチド二ナトリウム並ぴにリボフラビンについては、商社から得た情報を分析した結果、安全上問題となる情報はなかったこと、一方、キシラナーゼについては、安全性に関する情報が確認できなかったことも踏まえ、判断されたものと考えております。

5.検疫所が適切なチェック機能を果たさず流通してしまったのはなぜですか。
今回の事例については、国外の製造業者から輸入者に対し当該製品に関する情報の開示が十分になされなかったことや輸入業者の食品衛生法への認識が十分でなかったことなどに起因し、また、今般の事例のような遺伝子組換え微生物を利用した添加物は、検査により遺伝子組換え微生物の利用を判断することができないため、厚生労働省では引き続き、添加物の輸入者並びに添加物製造業者及び業界団体に対して、周知を図っていくこととしております。

6.今回、国のチェック機能がきちんと働かなかったことからすると、まだ他にも未承認の遺伝子組み換え食品添加物が流通し、それを使用している企業がほかにもあると予想されますが、これについて貴省では何か調査をする予定がありますか。あるならそのスケジュールを、なければ調査しない理由をお答えください。
キリン協和フーズ(株)の事例を受け、製造・輸入する添加物への遺伝子組換え技術の利用の有無について検疫所及び自治体を通じた調査を行いました。その結果については、平成24年3月1日付けの報道発表資料で公表しております。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000242aq.html
しかしながら、その度、協和発酵バイオ株式会社による詳細な翻筆の結果、問犠の事例が判明しましたので、所管の保健所より同社に対して、販売先への情報提供を行うとともに、その提供を受けた事業者が加工販売することを自粛するよう指示されました。
(参考)
・食品衛生法に基づく安全性審査を経ていなかった遺伝子組換え微生物を利用した添加物についての対応(第5報)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000028haa.html