newsletter No.36
No.36
2013年3月22日
目 次
・設立10周年記念国際シンポジウム開催案内
・1.31院内シンポジウム「どうなる・どうする食品表示」報告
・新食品表示法の骨子について消費者庁と意見交換
・日本マクドナルドにも波及した中国薬漬け鶏肉問題
・農地と農産物の規制値を原発内の規則と比べてみる
・連載/食品と法律(14)「憲法を読もう」
・照射食品反対連絡会報告「照射ジャガイモの出荷停止を申し入れ」
・連載/やさしい「農」生物学(29)
・FSCWの活動と食品安全委員会の動き
・トピックス①「遺伝子組み換え鮭がやってくる」
・トピックス②「BSE問題について」
・FSCW運営委員会報告
・第11回総会案内
巻頭言
金子サトシ監督の映画「食卓の肖像」試写会に行ってきました。カネミ油症を題材にした記録映画ですが、単なる食品公害告発にとどまらず、大勢の被害者や家族などの人間性と前向きな生き方が丁寧に描かれていました。
この映画はキネマ旬報2011年度ベスト・テンに選ばれ、4月6日(土)から新宿K’s cinema(ケイズシネマ 03-3352-2471)でモーニングショーが始まります。食品安全問題の原点ともいうべきカネミ油症。ぜひ多くの方に見て欲しいと思います。
私はこの映画を見て改めて気づいたことがあります。
カネミ油症は、皮膚に塩素にきび(クロロアクネ)という吹出物がたくさんでき、皮膚や爪も黒ずむという皮膚症状が中心の症状とされ、カネミ油症被害認定の中心的要件にもなっています。
しかしカネミ油症は、人類が初めてダイオキシンを食べてしまったことによる被害ですから、皮膚症状だけが油症被害と軽々に決めることは、本来できなかったはずです。実際、被害者は病気のデパートと言われるほど、全身にひどい症状が出ました。ところが被害者自身が、カネミ油症は皮膚症状だと思わせられていたため、めまい、頭痛、下痢、嘔吐、発熱などの諸症状を、自分の身体が弱いせい、自分の体質のせいと思っていたそうです。
このことは化学物質過敏症被害でも、茶のしずくのアレルギー被害でも同様でした。おそらく放射線被害も同じでしょう。
人間の身体は、内外から様々な攻撃にさらされても生きていけるよう、免疫や自律神経などで対処しています。だから風邪を引けば熱を出してウイルスを殺そうとし、おかしな物を食べれば吐いたり下痢して外に出そうとします。悪い物質に触れれば頭痛がするのも、生体に対する危険信号だと思います。
頭痛、下痢、嘔吐などの非特異的な症状は、決して体質が弱いからではなく、原因物質にさらされたときの生体の反応なのに、その原因物質を突き止めることが非常に困難です。見過ごされている被害が他にもあるのではないでしょうか。
(神山美智子)