newsletter No.48

No.48

2016年3月25日

 目  次

・販売における表示基準違反の機能性表示食品を是正させるまで
・伝わってほしい~「健康食品」に関するメッセージ~
・連載:食品と法律(22) 健康増進法と景表法・医薬品等法
・TPPと食の安全~消費者の権利を奪う流れが加速する可能性大~
・連続講座「安全に暮らしていくために」を開催して
・トピックス「新しい遺伝子組み換え作物開発進む」
・FSCW運営委員会報告
・講演会「えっ、鮭までリンゴまで遺伝子組み換え?!」案内

巻頭言

 今、消費者庁の徳島移転が問題になっています。私たち監視市民委員会も、昨年11月25日に反対の意見書を出しました。3月2日現在、全国53の消費者団体、34の弁護士会と、3つの司法書士団体が意見書を出しています。
 東京一極集中を是正し、地方の経済活性化などを目指し、「政府機関の地方移転に係る都道府県の提案」を検討しているのです。
 3月2日、日弁連は移転問題院内集会を開き、約100名の弁護士・消費者、相談員などが参加しました。国会議員も大勢出席して、反対意見を述べました。シンドラーエレベーターの被害者、パロマガス湯沸器被害者も出席され、消費者事故の原因究明、再発防止など、消費者の生命を守るべき消費者庁を徳島に移転させるのは、消費者の命を軽んずるものだという意見を述べました。

 消費者相談員も、毎日地味な仕事を担い、その成果が消費者庁に集まり、さらに他の省庁に伝わることで、消費者の利益が守られているのだと強調しました。
 一体誰のため、何のための徳島移転か、誰にも理解できません。徳島はインターネットが普及しているので、テレビ電話会議で十分仕事ができると、河野太郎消費者担当大臣は言っていますが、消費者庁は、本来、経済振興官庁などを押さえる司令塔の役割を負っているのです。テレビ会議で言うことを聞かせるのは不可能です。

 しかも、徳島県からの最初の申出は、消費者庁と東京港区にある国民生活センターの移転希望だけだったのに、締め切り後に、相模原市の国民生活センター(研修及び商品テスト)と消費者委員会の移転を付け加えたのですが、その理由は、相模原の国民生活センターと消費者委員会を知らなかったためだそうです。その程度の認識しかない県に移転するメリットは何もありません。

 多くの参加者の感想は、消費者庁の、司令塔として物を言う役割をそぐために、地方へ追いやるのだろうというものでした。
 しかし、現在の消費者庁は、ほとんど消費者の方を向いて仕事をしていません。そのため、消費者庁不要論、徳島移転賛成論もあるのです。
 消費者庁職員は、本来の設置目的を思い出して、消費者の権利と利益を守る役割を果たしてほしいと思います。

(神山美智子)