「健康食品」の広告是正に関する特別決議
(食の安全・監視市民委員会第19回総会特別決議)
「健康食品」の広告是正に関する特別決議
連日、「健康食品」に関する広告が、インターネット・テレビ・雑誌・チラシ・新聞に溢れています。その多くが身体的な効果・効能を示唆し、消費者を誤認させる表示で満ちています。
2019年度の健康食品の市場規模は約1兆2千億円、お米が1兆7千億円ですから、いかに膨大な市場かということが分かります。
この度、食の安全・監視市民委員会は進展する高齢化社会にあって、健康食品のターゲットになりやすい、中高年者が利用しやすい機能性表示食品及びいわゆる健康食品の表示について新聞広告とチラシを対象に調べてみました。その調査で分かったことは、①効果を暗示するような「○○を緩和し」「○○を軽減し」等々、医薬品的効果すれすれの表現が特大文字で書かれ、消費者の誤認を誘引しかねないものが多かったこと、②その反面、業界の作成した自主基準における必要な表示事項は肉眼では見えないほどの極小文字で書かれていたこと、③消費者にはその表示の真意を検証し難い、あたかも科学的根拠があるかの如く思わせるグラフなどを掲載していた例が多かったこと、などです。今回の調査が示した不当と思われる表示例はほんの氷山の一角にすぎません。
新聞、チラシ以外にも問題の多い媒体が目立ちます。特にテレビ広告は瞬時に必要要件の表示は消えてしまい読むことはできません。打消し表示は消費者を混乱させます。体験談、個人の感想等は禁止すべきです。食品表示法の表示基準の軽視など、問題が山積しています。早急に是正させる必要があります。中高年など身体脆弱な消費者をターゲットに売りまくる事業活動は許されるべきではありません。詐欺まがいの広告を早急に辞めさせるべく、今後とも活動を強めていきます。
その一弾として、3月25日に消費者庁長官あてに新聞広告10例を同封し意見と公開質問状を提出しました。内容は、「機能性表示食品や健康食品の広告の実態調査をしているか」「氾濫する広告をどう受けとめ、対処するつもりか」というものです。その回答が4月7日に届きましたが、「適切に調査を行っている。個別事案の調査に関しては回答することはできない」という内容で、質問の回答にはなっておらず、納得できるものではありません。
私たちは今後とも健康食品の不当表示の実態を調査し、その結果をもとに「健康志向便乗商法」が蔓延しているともいえる現状に対し、まずは広告・表示の是正へ向けた運動を展開していきます。
以上決議します。
2021年4月17日
食の安全・監視市民委員会第19回総会参加者一同