食の安全・監視市民委員会 2021年度活動方針

食の安全・監視市民委員会 2021年度活動方針(2021年4月17日)
 2020年度は、新型コロナウイルス感染症の直撃を受けて、総会の時期をずらすなど活動の制約を余儀なくされました。
 そして2021年度も、集会の開催などが制限されるかもしれませんが、総会も講演会も開催することができました。私たちは、これからも活動を止めるわけにはいきません。今後も感染拡大情勢を見極めつつ、食品の安全に関する行政・企業などの姿勢を調査監視し、必要な意見を表明していきます。
消費者庁は、当委員会の様々な提案に紋切り型の回答しかしませんが、私たちは、世界に遅れた食品表示制度などを改めさせるよう、活動を続けます。ゲノム編集食品や「健康食品」問題、環境中のマイクロプラスティックが食用塩などの食品中に混入する問題などについても、引き続き規制を求めていきます。昨年12月、ブックレット『かくれんぼ食品PartⅡ』を発行することができました。いろいろな機会を通じて拡大を図っていきたいと思います。農林水産省が5月に策定する「みどりの食料システム戦略」では、2050年までに有機農業を25%に拡大することや、農薬・化学肥料の大幅削減目標を掲げています。しかし、欧米に比べて転換が遅いこと、ゲノム技術などの拡大につながる危険性も指摘されています。私たちも注視をしていかなければなりません
 また、食の安全・市民ホットラインや、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議など、他の市民団体とも連携して、食の安全や環境問題などに幅広く取り組んでいきます。

1.食の安全を守るための監視活動を強化します
食の安全を守るために、食品の放射能汚染、食品添加物、遺伝子組み換え(GM)食品やゲノム編集食品、牛海綿状脳症(BSE)、照射食品などへの監視活動をさらに強化します。今後懸念される日米協議などの通商交渉での食品安全基準の引き下げを注視し、また輸入食品の安全検査につき監視を強めるよう求めていきます。こうした施策実現のため、行政の予算についても注目し、意見を言っていきます。
2.食の安全にかかわる国内外の機関を監視し、意見書などを積極的に提出します
消費者庁や消費者委員会、さらに食品安全委員会、厚生労働省をはじめとする府省庁や、事業者団体、コーデックス委員会、国際獣疫事務局(OIE)、国際植物防疫条約(IPPC)事務局などの動きを監視するとともに、積極的に意見を述べていきます。また、トレーサビリティ制度を検証し、拡充を求めていきます。
3.食品安全委員会や消費者庁・消費者委員会の抜本的改革を求めます
2003年7月に設置された食品安全委員会には、消費者代表が入っておらず、消費者の声が反映されにくい制度になっています。ここに消費者の参加を求め、リスク評価のあり方を見直すなど、抜本的改革を求めていきます。また、リスク管理機関と位置づけられた厚生労働省、農林水産省などの体制の見直しも求めていきます。2009年9月に設置された消費者庁、消費者委員会の活動を注視していますが、消費者庁の食品表示担当は農水省出身者に主導され、消費者が主体となる活動になっていません。食品表示の不備も改善されないままです。私たちは消費者庁・消費者委員会が消費者目線を貫き、消費者の利益を守るよう求めていきます。
4.消費者の権利を保障する食品表示制度の抜本的改革を求めます
「食品表示法」に基づく、消費者のための表示基準の拡充を求め、正しい表示が行われるよう、監視し要求していきます。また賞味期限など、期限表示と販売店での保存の実態にも注目します。
5.健康食品の誇大・虚偽広告にメスを入れる活動をさらに拡大します
いわゆる健康食品については、誇大・虚偽・ほのめかしなどの不確実な宣伝・広告があふれています。また、子ども向け健康食品・サプリの販売も増えてきました。「食の安全・市民ホットライン」構成団体と共同して、こうした宣伝・広告、また機能性表示食品制度について批判的立場で推移を見守り、情報収集と情報発信をしていきます。2017年度に発行したブックレット「健康食品で被害にあわないために」を活用し、いわゆる健康食品によって健康被害を受けた場合の対策等も求めていきます。
6.情報を収集し運動へと展開させます
原発事故による放射能汚染問題を含め全国各地で問題となっている国内外の情報を積極的に収集するとともに、会員に対し、おかしな表示や食品偽装などの事例の提供など、積極的な参加を呼びかけ、それを私たちの運動に活かしていきます。また、会員参加のフィールドワークを行い、各地で食の安全のために実践しているグループと交流していきます。
7.食の安全・市民ホットラインをさらに拡充します
2010年10月に発足した「食の安全・市民ホットライン」(食品の事故情報などを市民が通報しあうデータバンク)に引き続き中心的にかかわるとともに、協力団体の拡大に努めます。ホットラインキャラクター「忍者つーほー丸」を有効に使いながら、ホームページも多くの方にアクセスしてもらえるよう改善していきます。
8.学習会・意見交換会を開催し、講師の派遣を行います
総会以外にも、学習会や意見交換会、連続講座を開催します。当会や関係団体が発行したブックレットなどを活かした学習会と講師派遣を行います。
9.関係団体との連携を強化します
運動の一層の発展のために、「日本消費者連盟」や「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」、「照射食品反対連絡会」、「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」など他団体との連携を強化します。またホームページ上でリンクをはるなども進めていきます。
10.専門委員会を充実させます
食の安全・市民ホットライン専門委員会や食と環境の専門委員会を充実させます。
11.食の安全に関する情報発信
ニュースレター『食の安全ウオッチ』(年4回発行)やホームページ、メールマガジンを活用し、国内外にタイムリーな情報を発信します。2020年度に発行した『かくれんぼ食品PartⅡ』を活用し、食品表示や食品添加物の問題に取り組みます。ブックレットの発行にも努めます。
12.脱原発を掲げ国と東京電力の責任を糺していきます
原子力発電所の再稼働に反対し、再生可能エネルギーを中心とした社会システムを求めてゆくとともに、食品の放射能汚染問題や、子どもの甲状腺異常問題など、食の安全を実現するための活動を推進します。
13.食の安全を損なう通商交渉に反対します
 環太平洋経済連携協定(TPP11)や日米貿易協定、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日本・ヨーロッパ共同体経済連携協定(日欧EPA)などは農業ばかりでなく、食の安全をはじめ、様々に国民生活を脅かすものです。今後もその問題点を指摘し、食の安全を損なう通商協定交渉に反対します。
14.会員拡大・財政の安定化のための活動をすすめます
集会などで積極的に入会案内リーフレットを配るなど、当会の活動を広く知らせ、会員(個人・団体)、寄付者等の拡大に努めます。