措置命令の実効性および関連した食品ECサイトの表示問題に関する質問

22FSCW第5号
2022年9月27日

消費者庁長官 新井ゆたか様

食の安全・市民ホットライン
代表 山浦康明
食の安全・監視市民委員会
共同代表 佐野真理子 山浦康明

措置命令の実効性および関連した食品ECサイトの表示問題に関する質問

2010年に発足した「食の安全・市民ホットライン」(以下、ホットライン)は、消費者等から食に関する不具合情報を受け付け、検証後、主に行政、事業者等に改善の提言をする消費者保護活動を実施しています。また、食の安全・市民ホットラインのコア団体を担っている、食の安全・監視市民委員会は、食の安全問題を調査し、政府や事業者等に様々な意見・要望等を行うことを目的として2003年に設立された市民・消費者団体です。

2022年9月6日、消費者庁は、キリンビバレッジ株式会社が販売している「トロピカーナ 100% まるごと果実感 メロンテイスト」について、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、措置命令を出しました。

消費者庁は、その措置命令の中で「本件商品の原材料の大部分がメロン果汁であるかのように示す表示をしていた」と問題点を挙げ、容器の表示内容を枠囲み(1)から(9)まで指摘しています。しかし、不当表示として措置命令の対象となり、キリンビバレッジ株式会社が改善修正したとする新しいパッケージ表示のイラストの部分はほとんど修正されていません。消費者にとって、印象付けられるのは文字よりイラストだと考えます。そのイラスト部分がほとんど修正されていないことに疑問を感じます。

また、措置命令を受けた当日、キリンビバレッジ株式会社はニュースリリース「景品表示法に基づく措置命令に関するお詫びと再発防止策について 」を発信しました。そのニュースリリース中では、「※2022年5月4日以降の賞味期限の商品は、パッケージ表示を変更しているため措置命令の対象外」との記載があります。

しかし、一部の食品ECサイトでは、「2022年5月4日賞味期限以前のパッケージ表示(措置命令対象の容器包装)」の容器包装が表示されたままであることが、ホットラインの調査で判明しました。一部の食品ECサイトにおいて、消費者がいわゆる「パッケージ表示変更前とされる措置命令の対象商品の容器包装」を閲覧し、商品購入が可能であった状態だったといえます。

そこで、消費者の選択する権利の実現を目指す当会は、下記の点について回答を求めます。なお、回答は2022年10月14日までにいただきたく、よろしくお願いいたします。回答は当会公式サイトに公開することを予めご了承ください。

1. 消費者庁は、措置命令の概要 (2)対象表示に、(ウ)表示内容(別紙)【~~、別表「表示内容」欄記載の通り表示することにより、本件商品の原材料の大部分がメロンの果汁であるかのように示す表示をしていた】と明記しています。
しかし、新しい表示を見ると、別表「表示内容」が示している項目の中には、下記の通り修正されていない箇所があります。

・別紙の枠囲み(1)のイラスト及び「厳選マスクメロン」の表示は、修正されていない
・別紙の枠囲み(3)のイラスト及び「厳選マスクメロン」の表示は、修正されていない
・別紙の枠囲み(4)のイラストは、修正されていない
・別紙の枠囲み(5)のイラストは、修正されていない
・「厳選マスクメロン使用」及び別紙の枠囲み(6)のイラストは、修正されていない
・別紙の枠囲み(8)のイラストは、修正されていない

このように改善修正されていない表示箇所が多く見受けられる新しいパッケージ表示について、消費者庁は「一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良である」ことを回避できているとお考えですか。

消費者庁が指摘した箇所が修正されていないことについて、消費者庁の考えを教えてください。

2. 2022年9月6日、消費者庁が措置命令の根拠とした「容器パッケージ表示(2022年5月4日賞味期限以前のパッケージ表示)」のままの「トロピカーナ 100% まるごと果実感 メロンテイスト」が、一部の食品ECサイトで表示・販売されていた事実を把握していましたか。

3. 一部の食品ECサイトにおいて、消費者都合の返品は不可との規定が記載されています。そのような状況にも関わらず、今回、一部の「食品ECサイト上に表示されていた容器包装」と異なる容器包装の食品が、販売されていた可能性が確認できました。このような食品ECサイトで「措置命令対象表示のまま販売している」ことへの見解を教えてください。

4. 2022年9月6日に出した、キリンビバレッジ株式会社に対する措置命令には、「再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。」との記載があります。しかし、キリンビバレッジ株式会社の役員・従業員だけの周知ではなく、食品ECサイト運営会社など取引先・関係先にも再発防止策の周知徹底が必要と考えます。消費者庁の見解を教えてください。

以上

<連絡先> 食の安全・監視市民委員会
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田 1-9-19-207
Tel:03(5155)4765  Fax:03(5155)4767
E メール:office@fswatch.org

【参考資料】
参考資料1 消費者庁措置命令
参考資料2 新しいパッケージ表示(4面)
※そのうちの注ぎ口がない裏面表示は、ハロウィン用新パッケージ