「加工食品の原料原産地表示の更なる推進について 報告書」についての意見

06FSCW第2号
2006年5月1日

農林水産省消費・安全局表示・規格課表示企画班 御中

食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子

「加工食品の原料原産地表示の更なる推進について 報告書」についての意見

Ⅰ加工食品の原料原産地の義務表示対象品目の見直し

1 義務表示の対象品目の選定要件の基本的な考え方
加工食品の原料原産地の見直しにあたって、①原産地に由来する原料の品質差異が、加工食品としての品質に大きく反映されると一般に認識されている品目を変更する必要はないと考えられると述べられており、その理由として、ウ.・・ある意味では普遍的な考え方としているが、なぜ普遍的な考え方として容認するのか、検証の結果などがあるのか審議の経過が不明確である。見直し、改革をするのであればそれが妥当かどうか検討することこそ必要なことと考える。

2 義務表示対象品目の具体的な選定要件

然るに今回も選定要件を1.を踏まえて、①加工の程度が低い ②原産地によって原料の品質に差異がみられ、商品の差別化(価格等)がされている ③原料の調達先が海外も含め多様であるを上げ、結果として①を重視したとあるがなぜ加工度が低いことを重視するのかその理由が定かではない。又ここでいう品質の差とは何か、(価格等)とはあるが安全性・安心なども含むのかどうか、明白ではない。原産地によって原料に差異があるからといって必ずしも商品の価格等差別化がされているとは限らず、二重の要件を満たす必要はない」。
近年、消費者の食品に対する安心・安全志向、食料・農業・農村基本法の基本計画にあるように、食料の自給率を向上させるため国内農産を選択する場合もも多く見られる、したがって②、③も重視すべきである。

Ⅲ 原料原産地表示の考え方等の今後の更なる見直しについて
1 見直しの検討時期について
昨今のBSE問題のように消費者の不安が急激に高まっていることなどの例に対処するために、ただし、・・・製造及び流通の実態の変化、に「消費者の緊急的な要望」を加える必要がある。

2(考慮すべき点、整理すべき課題等)
(例1)について、前提として原産国の原材料を切り替えて使用する場合の事例を具体的(品目や包材の切り替えの実態と経済性など)に調査して置く必要がある。

 

加工食品の原料原産地表示の対象として追加すべき品目について
(ア)対象として追加すべきと考える品目と理由
(1)大豆製品群(豆腐 納豆 味噌 醤油 油等)
(その理由)
原材料となる大豆の自給率は約3.5%(16年度食料需給表)とその多くを輸入に依存している。にもかかわらず、製品に原料大豆の原料原産地表示はなされていない。豆腐、納豆、醤油などに関しては国内産大豆を使用した場合のみその旨、任意に表示されている物が見受けられる。事業者にとってメリットがあると思われるもののみ表示されていると考えられるが、一方的な表示は不公平である。近年海外の大豆は遺伝子組み換えしたものが多い。他方「遺伝子組み換え大豆を使用していません」などの表示も多く見られることから消費者の選択のために大豆製品群の原料原産地情報を提供すべきである。

(2)食肉加工食品群(ハム ベーコン ソーセージ 牛タン 牛丼のもと ローストビーフ 鶏のから揚げ等)
(その理由)
牛肉の自給率は44%、豚肉は51% 鶏肉は69%(いずれも16年概算)でありその多くを輸入に依存している。これらの生鮮ものには原産地表示は義務化されているところから選択可能である。しかし、加工品に使われる場合は表示されていない。近年、消費者の加工食品への依存度は高くなっており、BSE問題など、安心・安全の観点から生鮮品、加工品も公平に情報を提供すべきである。

(3)魚介類冷凍食品(魚すり身 ボイルむきえび・いか・貝等)
(その理由)
多くは単一原料の場合が多く加工程度は低い、野菜冷凍食品と同等に表示の対象とすべきである。その場合、魚のすり身は例えばたら、かに、えびなど2,3種混合されているものもあり、その原料が選定要件である単一なものの重量の50%に満たないものもあるが、同じすり身でありながら原産地が表示されているものとないものがあると消費者の混乱を招く、要件に関わりなく一律に扱うべきである。

(4)米菓・小麦粉製品(せんべい あられ クッキー等)
(その理由)
もともと加工食品の原料原産地表示が社会問題化したのは、外国産の塩漬け梅を日本で梅干に仕上げたものについて国産と表示され、外国産米を板状にしたものを輸入し、国内で揚げたり、味付けされたものが国産と表示されたことがきっかけであった。梅干しなど漬物はすでに表示が義務つけられ、さらに20品目にもちが含まれているので、おかき、せんべい、クッーキなどもちに類似し、一種類の原料で作られる製品に表示を義務づけることは容易であると考える。