消費者・市民団体連帯アピール 「機能性表示食品制度」を廃止し、保健機能食品制度の抜本的見直しを求めます

2024年10月24日

消費者・市民団体連帯アピール
「機能性表示食品制度」を廃止し、保健機能食品制度の抜本的見直しを求めます

消費者庁および厚生労働省は、小林製薬の紅麹サプリメントによる大規模消費者被害事故を踏まえ、機能性表示食品制度の運用について、今年9月、いくつかの変更(※)を実施しました。
(※)健康被害の報告義務化、GMP(適正製造規範)の義務化、届出情報の表示方法の見直し、販売120日前の届け出などを柱にしたもので、このうち、健康被害の報告義務化は今年9月1日から施行されています。GMP義務化と届出情報の表示方法の見直しは26年9月1日、販売120日前の届出は「プリズマ2020」と合わせ25年4月1日からの施行となります。
今回の見直しでは「義務化」項目を導入することで、以前に比べ、行政機関が関与する範囲が拡大することになりました。今年9月には従来の「制度運用ガイドライン」が「マニュアル」へと位置付けられ、2025年4月にはその内容が「告示」として制定されることも予定されています。これも今後の行政関与の拡大を予想させる措置です。
しかし、結局は「届出制度」を前提とした「事業者の責任による科学的根拠に基づく機能性表示」という「事業者任せ」の制度の根幹に変更はありません。行政が事前に届出食品の安全性を評価したり、機能性表示の信頼性を評価したりする、などはしない制度であることもこれまでと同様です。
事後チェック調査の対象食品を拡大することが予定されていますが、これについても従来と同様、調査結果を公表する制度導入は予定されていません。健康被害を防ぐには調査結果が迅速に消費者に知らされるべきですが、その保証もないのは従来と同様です。
私たちは、今回の制度見直しでは実効性が伴わず、健康被害の防止には結びつかないと判断せざるを得ません。情報公開の視点がなく、健康被害情報の隠蔽・隠匿の可能性も残されています。
食品事故の発生・拡大防止と被害者救済を実現するために、政府に対し、私たち消費者・市民団体は次の点を求め、連携した取り組みを全国で展開します。

【要求項目】
1. 機能性表示食品制度は「届出制度」と「事業者責任」を柱としていますが、食品の安全性確保と表示の適正化には行政による分析・評価・監視を要件とし、その分析・評価・監視の取組結果が広く消費者に公表され、知らされることが前提です。政府が消費者目線で制度の廃止を含む抜本的見直しに向け積極的に対応していくことを求めます。

2. 錠剤・カプセル・濃縮型などのサプリメント形状の食品は、消費者が医薬品と誤認しやすいこと、特定成分の過剰摂取につながりやすいことなどを特徴とし、健康被害発生への可能性が高いことが常に指摘されています。従って、これらサプリメント形状の食品については、安全性確保の観点から、新たな法律を制定し規制するか、または、食品としての使用を禁止するかなど、それらを踏まえた抜本的検討に着手することを求めます。

3. 消費者の情報源となる広告規制の強化、インターネット広告を含む広告・宣伝を食品表示法の規制対象とすることを求めます。

4. 新たな制度の検討に際しては、「消費者権利と消費者利益の尊重」「情報の公開」を制度の前提とするよう求めます。

5. 食品に係わる「消費者被害の救済制度」の導入に向けて、政府が積極的に検討することを求めます。その際、医薬品分野での「医薬品副作用被害救済制度」のような仕組みを参考とし、同制度の現在の運用課題等を含め検討することを提案します。

【賛同団体】
家庭栄養研究会
主婦連合会
食の安全・監視市民委員会
東京消費者団体連絡センター
東京都地域消費者団体連絡会
特定非営利活動法人 グリーンコンシューマー東京ネット
特定非営利活動法人 日本消費者連盟
目黒消費者グループ連絡会

<連絡先> 食の安全・監視市民委員会
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田 1-9-19-207
Tel:03(5155)4765  Fax:03(5155)4767
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