食の安全ウォッチNo.81(2024/07/22)

●機能性表示食品制度の廃止を………………2
 コラム・機能性表示食品表示基準について………4
●紅麹事件と健康食品…………………………5
●正しい食品表示を求め消費者庁を追及………6
●総会報告………………………………………7
●シンポジウム「機能性表示食品の問題点」……8

巻頭言

復旧進まない能登、軽視されるいのち、行政は公助の視点に立ち返って
パリオリンピックと大阪万博。これほど不安感の中で迎える国際イベントはありません。世界で戦争が継続され、毎日爆弾が炸裂し、子どもを含む多くのいのちが奪われています。日本はじめ、各国政治家リーダーたちはいのちの重さをどう考えているのでしょうか。平和に向けた対話は一向に進んでいないことを示しています。
 日本では「モリトモ」「カケ」「サクラ」に加え、「ウラガネ」が消費者の心をイヤ~な思いにさせています。消費者の不信を招く「今だけ、金だけ、自分だけ」という政治家行動が目に余ります。こういう姿勢が今や政治の常識なのでしょうか。政治を「産業」と位置付け、利益を得ることを至上命題としている、そう思わざるを得ません。いくつかの業界団体では独占禁止法違反が発覚しないよう、利益を分け合い、知られてマズイことは隠す、そんな行為が当たり前のようですが、「政治産業」でもそれと同然であるかのような状況です。
 能登半島地震の復旧もこのような政治腐敗の影響下にあるのでしょうか。今年元旦の大地震から6カ月経つ現在も、復旧・復興が進んでいません。万博会場の建設に事業者がかり出され、思うように復旧が進まないとの報道もあります。地震で倒壊した建物がガレキと化し、現在もそのまま放置され、水道、電気などのライフラインの復旧すらはかどらず、震災関連死は発生し続けている、との報道もあります。
 阪神・淡路、東日本、熊本などの大地震や、台風、暴風雨、雪害などの大災害を経験した日本でこそ、被災者救済と被災地復興は重大課題のはずです。日本と同じく火山の多い災害大国イタリアでは、災害発生から48時間以内に、被災者にテント、ベッド、トイレ、食料などの必要物資を届け、生活環境を整備することを国や自治体に義務付ける法制度が整備されていると聞きました。自助よりも、まず公助です。
 今年は消費者の権利が明記された消費者基本法の施行20周年、消費者庁・消費者委員会が設置されて15周年です。法律に明記された消費者の基本的需要が満たされる権利や、健全な生活環境を確保される権利はどうなっているのでしょうか。消費者庁はじめ行政機関には公助の視点に立ち返るよう求めていきましょう。
(佐野真理子/共同代表)