食の安全ウォッチNo.79(2024/01/31)
●どうなる機能性表示食品制度…………………2
●消費者庁に情報開示を求めて最高裁へ………5
●「謎肉」の正体…………………………………7
●PFAS学習会のお知らせ…………………8
●食品表示問題ネットワーク院内集会…………9
●遺伝子組み換え・ゲノム編集食品の現状…10
●ニュースレター電子版についてのお願い……11
巻頭言
厳しい年明け、いっそうの連帯を
派閥のパー券、裏金、辺野古沖強行埋立、能登半島地震…。年末から年頭にかけて、やるせなさや、悲嘆を伴う事件・事故が相次いでいます。
とりわけ、元旦に襲った能登半島を震源とする大地震は、被災状況が明らかになるにつれ、多くの人が胸を締め付けられる思いで報道に接したのではないでしょうか。発生2週間以上の今(1月16日)も、電気、ガス、水道のライフラインが整備されない孤立無援の集落が点在していて、高齢者だけでなく乳幼児や若い人にも、酷寒の中、避難所などでの災害関連死の発生が心配されています。地震大国日本の現状です。
科学は地震の発生日を予測できません。であるなら、発生後の救援・支援こそ減災の核心です。この救援・支援活動には柔軟な対応と決断が求められます。こういうときにこそ、政治家にはリーダーシップを発揮すべき責務があります。ところが、国民の生命・権利を守り、先頭に立つべき政治家の姿が一向に見えてきません。
政治屋による政治産業
年末から政権を揺るがす自民党派閥の裏金問題で逮捕者が出るなど、目も当てられない状況が続いています。裏金隠しと保身に懸命なあまり、被災者の声が届かない、あるいは聴く耳をもたない状態になっているのでしょうか。政府は機能不全ではないかと思えるほど、被災者の声にきちんと応えていません。今年の展望を語るべきハレ日に、これほど、国民の将来に思いを馳せず、国民を落胆させた例は他にありません。裏金作りに精を出す「政治屋」による「政治産業」の内実とはこういう姿なのでしょう。
沖縄県名護市辺野古沖の埋立着工も、反対する民意を無視して強行されました。住民自治を力でねじ伏せるような強権的な政府の行為には、明るい未来はありません。暗たんとする思いをさらに膨らませるような事態も発生しました。キックバックによる裏金問題の腐敗是正をめざして岸田首相が発足させた自民党「政治刷新本部」に、当のキックバックを受けた議員が何人も委員として入り、多くの国民をあ然とさせたことです。「泥棒を見てから縄をなう」という「泥縄式」の言葉を想起させました。岸田首相は問題議員の本部委員委嘱について「排除の論理はとらない」と記者会見で述べていましたが、大切なのは、国民にわかりやすく説明していくことでしょう。そうでないと政府への不信はさらに高まっていきます。
消費者の権利を求める運動を
今年はこのような消費生活を揺るがす事件・事故が相次ぐ中でのスタートとなりました。消費者の権利を無視する理不尽な対応をとる政治・行政に対しては、断固として是正を求める運動に取り組みたいと思います。これら問題は食の安全施策など衣食住に関わるすべての身近な問題に直結するものであり、いのちにかかわる事柄です。今年も多くの消費者・市民と連帯し、運動を進めていきたいと思います。本年もよろしくお願い申し上げます。
(佐野真理子/共同代表)