食の安全ウォッチNo.78(2023/10/27)
●人工甘味料についての申し入れ……………2
●アミノスパルタンゴールドへの申し入れ…4
●消費者委員会に意見書を提出………………5
●中国産アサリから国産の10倍のPFAS……・7
●ゲノム編集魚を考える京都集会報告………8
●照射したジャガイモを食べたくない………9
●新運営委員紹介 橋本麻由さん……………10
●ニュースレター電子版の発行について
巻頭言
NGリストは食品安全行政でも?
いま、記者会見でのNGリストが話題になっていますが、これは芸能界に限りません。残念ながら、政府がこれまでおこなってきたBSE(狂牛病)対策や遺伝子組み換え食品、食品添加物、残留農薬基準などについての意見交換会で、慎重論を唱える消費者が軽視され、反論の機会もありませんでした。また、パブリックコメントにおいて政府の政策提案に科学的に反論してもそのほとんどが無視されてきたことを思い起こす方々もいるのではないでしょうか?日本ではリスクコミュニケーションとは名ばかりで、政府が進める政策の露払いとしての説明会にすぎない事例が多すぎます。
こうしたことは政策策定の際に、真の透明性が確保されていないことが原因だと思います。例えば厚生労働省は従来、食の安全についてリスク管理機関の役割を果たしてきました。ところが省庁再編によって「生活衛生基準行政」が消費者庁に移されることになり、食品の規格基準を作る仕事は2024年4月から消費者庁に移管されます。食品安全監視の仕事においても、付属機関の国立衛生試験所の食品添加物の試験業務の仕事も担えるパワーがなくなるとも言われています。消費者庁はその力量を発揮できるのか心配です。厚労省に残る輸入食品を検査する検疫の仕事は今でも人員不足ですが、予算面での増額は期待できず、今後チェックがさらにおろそかになってしまうのではないかと心配です。こうした重要な制度変更に際し、国会審議も十分におこなわれず、消費者が知らないまま、2023年の通常国会で決められてしまったのです。
また、消費者庁の審議会の委員の人選、消費者委員会委員の人選についてももっと消費者団体のメンバーを増やすべきですがなかなか実現できません。ただ今回、食品安全委員会の企画専門調査会委員に本市民委員会運営委員の船江莉佳弁護士が選出されたのは朗報です。消費者代表としては少数にとどまりますが、食品安全委員会で取り上げる課題について消費者目線で発言していくことでしょう。みなさまも応援よろしくお願いします。
(山浦康明)