食の安全ウォッチNo.76(2023/03/27)
●情報公開請求控訴理由…………………………2
●フライパンから放出されるマイクロサイズのテフロン樹脂……3
●食の安全・監視市民委員会総会のお知らせ…4
巻頭言
消費者をだまし、実態を隠す行為
「ステルス」という言葉が溢れています。「ステルスマーケティング」「ステルス値上げ」「ステルス勧誘」・・・。わずか一機の値段が消費者庁の年間予算(124億円)を超す、相手に気づかれずにレーダーをかいくぐる「ステルス戦闘機」もあります。いずれも、実態を隠す、ごまかすという意味合いが強く、消費者には良いイメージはありません。
SNSやWEBサイトでは、消費者に広告であることを隠して好評な商品であるかのように装い、消費者をだますステルスマーケティング(ステマ)が横行しています。
食卓に目をやると、去年よりステルス値上げの食品が目立ちます。スーパーの店頭を見渡すと、包装容器が一回り小ぶりになった食品をはじめ、パン、お菓子、加工麺、乳製品、清涼飲料水などの中には以前と同じ価格なのに、内容量が明らかに少なくなったもの、消費者に気づかれないように実質的に値上げした食品が散見します。
食の安全・監視市民委員会はパンフレット「かくれんぼ食品Ⅰ・Ⅱ」を発行しましたが、これも食品添加物の含有実態を隠すという、大きくは、ステルス表示を問題視したものです。食品表示基準の原則をわきまえない、物質名を表示しない、結局はどんな食品添加物が添加されているか、消費者に伝えない、実態を隠しているという食品群です。
消費者の選択の権利はますます危うい状況に追いやられています。私たちの権利を実現させていくために、一つひとつの「ステルス」を暴いていく必要があります。 (佐野真理子)
改めて消費者庁に猛省を促します
2月28日、議員会館で院内学習会が開かれ(主催=日消連、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン)、「遺伝子組み換え(GM)でない表示が消える」と題して、消費者庁の食品表示企画課の担当者と意見交換が行われました。
そのやり取りの中で、消費者庁は消費者が懸念する遺伝子組み換え食品表示の後退について消費者の立場に立つことがないばかりか、制度改悪の問題点について無知であることが明らかになりました。たとえば、GMの原料が意図しないで混入した場合でも現行は5%まで許容されています。海外との比較をしているかと聞いても、消費者庁は米国市民の自主的な非GMラベルの普及の実態は知らず、混入許容割合がEUでは0,9%であることはわかっていましたが、台湾では3%、韓国でも3%、豪州は1%など、各国が厳しい基準を設け、基準以上ではGM表示を義務づけている認識は薄いようでした。
この春から、日本では「GMでない」と任意表示できるのは検出限界未満の場合だけになりますが、その際任意表示しようとする事業者には、原料に遡って社会的検証が求められます。現行制度では食用油や醤油など、最終製品ではGM遺伝子や蛋白質が科学的に検出できないからGM原料を使用している、と表示する義務はないとし、その際には私たちが主張する社会的検証はできないと消費者庁は言います。このようなご都合主義を持ち出し、事業者に有利で消費者の知る権利を尊重しない態度は消費者のためにはなりません。「消費者庁」という名は返上すべきでは? (山浦康明)