遺伝子組み換え食品の次世代への影響を評価する実験を求める
2006年8月3日
食品安全委員会委員長 寺田雅昭 様
厚生労働大臣 川崎二郎 様
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表 天笠啓介
食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
特定非営利活動法人日本消費者連盟
代表 富山洋子
遺伝子組み換え食品の次世代への影響を評価する実験を求める
ロシアの科学者・イリーナ・エルマコヴァ博士が7月始め来日し、博士自身が行なった次世代への影響を評価する実験の内容を発表しました。
母ラットに交尾する前から飼料を与え、健康な雄と交尾させ、子ラットへの影響を比較してみました。その結果、GM大豆を投与した母ラットから生まれた子ラットは、51.6%と高い死亡率となりました(対照群の通常の飼料のみ8.1%、通常の飼料にGM大豆から抽出した蛋白質を加えた場合15.1%、通常の飼料に在来大豆を加えた場合10%)。
それに対して、モンサント社などバイテク企業側の反撃も大きく、バイテク情報普及会が、マスコミなどを集めて講演会をもつなど、イリーナさんが行くところを先回りして、批判を行いました。そして実験の方法などで、博士が押さえ損なった細かい点を衝いて、「いい加減な実験」というレッテルを貼りつづけました。
実験自体まだ最初のステップであり、試行錯誤のところがあり、緻密さにかける点があったことは否定できません。しかし、同じ条件で4つの集団にそれぞれの飼料を与え、同じ条件で飼育したところ、GM大豆を与えた母ラットの子どもの死亡率が高く、低体重児が多かったという結果が出たのです。その点だけとっても、遺伝子組み換え食品の安全性で重要な問題を提起したといえます。
これまで遺伝子組み換え食品の安全性評価の試験で、次世代への影響を見る実験はほとんど行われていません。イリーナさんも、同じ実験を他の人が行うことを求めています。 私たちは、同様の実験を繰り返し行い、遺伝子組み換え食品が食品として安全かどうか正しく評価することが食品安全行政の責務と考え、次世代への影響を評価する動物実験を行うことを求めます。