食品表示の抜本的改革に関する要望書

07SFCW第20号
2007年12月14日
農林水産大臣 若林正俊様
厚生労働大臣 舛添要一様
内閣府食品安全担当大臣 泉信也様
自由民主党消費者問題調査会 会長野田聖子様
食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
東京都新宿区西早稲田1-9-19-207
NPO法人日本消費者連盟気付
Tel 03-5155-4765 Fax 03-5155-4767
食品表示の抜本的改革に関する要望書
食の安全・監視市民委員会は食品安全基本法成立を期に食の安全を確保するため、企業や行政を監視し、意見を述べることを目的に設立した団体です。この度のミートホープ社に始まる食品表示偽装問題について、抜本的な改革なくしては消費者被害の防止はありえず、今後、安全性問題をももたらす恐れを感じます。2001年食品安全基本法が成立し2003年には農林水産省が安全・安心のための政策大綱を作成しました。それにもかかわらず、発生し続ける一連の事件は、これらの政策が機能しなかったことを示しています。徹底した原因究明とともに食品表示に対する消費者の疑念を払拭し、信頼を取り戻すため下記のとおり要望します。
1)食品に関する法律を一本化すること
現在の食品表示に関する法律は、食品衛生法・JAS法・景品表示法・不正競争防止法等、ばらばらであり、消費者のみならず、企業の混乱をも招いています。これらの法律を一本化し、その法律に消費者の正しい情報を得る権利、選択の主権を盛り込むこと、消費者に軸足を置いた行政を目指す「食品表示法」の策定を望みます。制度の疎漏のない運用を図るため、行政体制を確立し、摘発、命令等の権限を強化すべきです。2)製造年月日表示を義務付けとすること
1995年、製造年月日表示を廃止し期限表示を導入するに当たり、多くの消費者団体が反対したにも関わらず強行されたという経緯があります。製造年月日は裁量の余地のない客観的事実で、行政当局が検証する事も容易であり、虚偽表示はただちに、法律違反となることが明白であります。期限表示とともに製造年月日を義務表示とすべきです。
一方消費・賞味期限はガイドラインに基づき、事業者が任意に設定することができるので事業者にしても、期限を書き換えることに罪悪感を抱きにくいという問題があります。
また、消費者だけでなく事業者もその意味するところを完全には理解しがたく、賞味期限を過ぎただけの食品が、店頭や家庭で多く廃棄されるという問題点をかかえています。1期限表示の文言を見直し、根拠の情報提供制度を設けること
賞味期限の意味する「おいしく食べられる」とはすこぶるあいまいで非科学的です。CODEXの定義Date of minimum Durability(best before)「・・・ 特定の品質をも保持する期間の周期を明らかにする日付を意味する」を採用し「品質保持期限」とするほうがその意味するところがわかりやすく科学的表現だと思われます。
そして期間設定に当たってはその根拠となる資料を公開し、データの適否を公の機関で検証すべきです。

3)原材料表示の基準を明確にすること
現行JAS法では加工食品の原材料は重量割合の多い順に記載することになっていますが、小麦粉など乾燥品と生ものなど数種の原料を使用した場合の重量比の換算はどうなっているのか、消費者にはその基準が不明です。往々にして事業者の販促に都合のいい計算がされ、表示される恐れがあります。また、水の表示義務も検討すべきではないかと考えます。

4)法律による回収命令義務・廃棄基準を定めること
今日、食品衛生法違反以外の表示違反は、人の健康に危害が及ばないからという理由で事業者の任意により、「お詫びと回収」広告などで呼びかけていますが、本当に回収されているのか、それはどの程度かなど実行性は不明です。偽装表示は多くの消費者に経済的損害を与えているわけであり、その損害は賠償するのが当然です。したがって、法律の中に事業者の回収義務を定め、廃棄基準を盛り込むべきだと考えます。

5)罰則は厳しく、実行あるものとすること
現行JAS法では「是正の指示・公表」「指示に従うよう命令・公表」の手順を踏み、懲役または罰金が科せられることになっていますが、指示・命令の段階での公表は消費者へその情報が届いていません。公表のあり方を検討し、より効果のあるものとする必要があります。叉法人の場合1億円以下の罰金となっていますが、罰金が科せられることもなく、営業を再開しているのが現状です。これでは、予防措置としての効果は期待できません。

6)事業者間取引についても表示の義務付けをすること
今般JAS法を改正して加工食品の原料について原料供給者間の取引についても表示義務を課す方向で検討されています。その案によれば任意案も提案されており、特に外食惣菜・インストア加工の場合は最初から任意案となっています。昨今外食・惣菜の利用者は増加しており、これらの表示義務を除外すべきではありません。いうまでもなく、これら事業者間取引についても、消費者パック同様、製造年月日と期限表示を採用すべきです。