健康エコナクッキングオイルなど「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」に対して 特定保健用食品の許可取り消しと健康被害に関する疫学調査の実施の要望書

09FSCW第9号
2009日消連第32号
2009年9月24日
消費者及び食品安全担当大臣 福島瑞穂様
消費者庁長官 内田俊一様
消費者委員会委員長 松本恒雄様
食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
特定非営利活動法人 日本消費者連盟
代表運営委員 富山洋子

健康エコナクッキングオイルなど「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」に対して特定保健用食品の許可取り消しと健康被害に関する疫学調査の実施の要望書
(株)花王が一時販売自粛・出荷停止を決定した健康エコナクッキングオイルをはじめとする「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」について、消費者保護の観点から、以下の2点について要請します。

1. 「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」に対する特定保健用食品としての許可を一時的に取り消すこと。
2. 「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」を長期にわたり摂取した人たちを対象とした健康被害の実態究明のため疫学調査を実施すること。

理由1
当該食品は、1998年に特定保健用食品に許可され発売が開始されました。しかし、2005年にラットを使った二段階発ガン試験において、その主成分であるジアシルグリセロールに発がん促進作用の疑いが指摘され、食品安全委員会において安全性の再評価が続けられています。
厚生労働省や食品安全委員会がその後実施した動物実験では、皮膚の二段階発ガン試験で発がん促進作用が確認され、一部の試験結果では口腔ガンや乳腺ガンの促進作用を示唆する結果も示されています。発がん促進作用の有無に関する評価では、審議を担当している食品安全委員会新開発食品・添加物合同調査会でも委員の間で意見の対立が続き、審議が継続している状況です。
一方、2009年7月には、メーカーの花王から提出された資料により、グリシドール脂肪酸エステルという新たな不純分が含まれていることが判明しました。その濃度は通常の植物精製油の約100倍です。グリシドール脂肪酸エステルの安全性については、体内で発ガン物質であるグリシドールに分解される可能性が示唆されており、ドイツでは低減措置がとられております。
花王の今回の一時販売自粛・出荷停止の措置は、不純物グリシドール脂肪酸エステルの濃度を、一般食用油と同等レベルに低減するまでの措置だと説明しています。
しかし、当該食品の問題点は、不純物グリシドール脂肪酸エステルだけではなく、主成分であるジアシルグリセロールに対しても残っている点を考慮すれば、食品安全委員会での安全性評価結果が出るまでの間、特定保健用食品としての許可を一旦取り下げることが妥当な措置だと思います。

理由2
当該食品は、「体に脂肪がつきにくい」という効能の表示が認められているため、生活習慣病予備軍の人たちをはじめ、健康に関心のある消費者が、効能を期待して長期間摂取し続けてきたという可能性が高いと思われます。
当該食品を使い続けている消費者の一部に、ガンが発生したケースが報告されています。個別のケースでのガンと当該食品の摂取の因果関係は判断が難しいと思われますが、そうした因果関係の有無を判断するためには、当該食品の長期摂取者と一般の人たちの間でガンの発症率に違いが出ているのかを調べる疫学調査が必要です。
健康被害発生の有無の確認と、被害が出ていた場合の救済のために、早急に関係省庁と調整の上、疫学調査を実施されることを強く要望します。

以上