第1 総則 1 目的 この法律は、食品に関する表示を適正なものにすることにより、消費者の安全を確保し、消費者の自主的で合理的な商品選択が確保されるようにするため、事業者に対して、消費者の食品選択に必要な情報を開示させ、かつ、消費者が誤認することのないようにその内容を適正なものにさせることとし、もって消費者の権利を確保することを目的とする。2 定義 (1) 食品 生鮮食品、加工食品、冷凍食品、食品原料、飲料(アルコール飲料を含む。)等すべての飲食物をいう。ただし、薬事法に規定する医薬品及び医薬部外品を除く。 (2) 表示 商品又はその容器包装における表示、店頭・店内表示、見本、チラシ、カタログ・パンフレット、ポスター、看板、ダイレクトメール、新聞、雑誌その他の出版物、放送等による広告、インターネット広告その他消費者の商品選択に関する情報について行う一切の広告表示をいう。 (3) 事業者 食品を消費者に供給する生産者、製造業者、輸入業者、販売業者、外食業者、通販業者等の事業者及び食品の製造業者に原材料を供給する事業者をいう。3 本法の所管 内閣総理大臣(消費者庁)の専管とし、他の省庁に共管させないものとする。 第2 表示事項 1 事業者は、自己の供給する食品について、この法律で定める表示事項を、内閣府令で定める方法により明瞭に表示しなければならない。 2 前項の表示事項は、次のとおりとする。 (1) 共通表示事項 特定の食品群に共通の表示事項でこの法律で定めるもの (2) 特定表示事項 特定の食品についての表示事項で内閣府令で定めるもの 3 生鮮食品(米、魚介類、肉類、野菜、果物、卵等)の共通表示事項は、次のとおりとする。 (1) 品名 (2) 原産国・原産地名 (3) 食品添加物(防かび剤) (4) 栽培方法 (5) 養殖 (6) 解凍 (7) 遺伝子組み換え (8) 放射線照射 (9) クローン (10) その他内閣府令で定める事項 4 加工食品、冷凍食品、食品原料及び飲料の共通表示事項は、次のとおりとする。 (1) 品名 (2) 原材料名(多いもの順に表示し、かつ、主要なものにつきその含有割合を表示する。) (3) 食品添加物名 (4) 製造業者・製造所(固有記号不可)・輸入業者・販売者の名称及びその所在地 (5) 原産国・原産地名 (6) 原料の原産国・原産地名 (7) 遺伝子組み換え (8) 放射線照射 (9) 日付け表示 (10) 内容量 (11) 保存方法 (12) 栄養成分 (13) アレルギー (14) 警告が必要な場合はその旨 (15) その他内閣府令で定める事項 5 表示事項に関する表示については、次の事項につき内閣府令により特例を設けることができる。 (1) 各種広告、容器包装による表示等表示媒体の別による特例 (2) 輸入業者、販売業者等事業者の業態別による特例 (3) 対面販売、外食販売等販売の態様による特例 第3 定義・規格等の設定 内閣総理大臣は、表示事項に関する表示の前提として、食品の定義、表示に係る規格・基準、原産国・原産地の定義、日付け表示等の定義等を定めるものとする。 第4 誤認表示の禁止 1 事業者は、自己の供給する食品について、消費者の自主的で合理的な選択を誤らせる虚偽表示、誇大表示その他の消費者に誤認されるおそれのある表示をしてはならない。 2 内閣総理大臣は、前項に違反するかどうかの判断のために必要があると認めるときは、事業者に対して、表示の裏付けとなる資料の提出を求めることができる。事業者が資料を提出しないときは、同項に該当する表示とみなす。 第5 規制手続(調査権限及び行政処分) 1 内閣総理大臣は、この法律に違反する疑いがあると認めるときは、関係事業者に対し、出頭を命じて取り調べをし、疑いのある事実について報告をさせ、若しくは帳簿書類、資料、食品の現物等の提出を命じ、又は事業所に立ち入り、所要の検査をし、証拠品等を押収することができる。 2 内閣総理大臣は、この法律に違反する事実があると認めるときは、事業者に対し、必要な表示事項の表示を命じ、若しくは表示の訂正を命じ、又は誤認表示についてその排除若しくは消費者の誤認を除去するための訂正広告を命じ、その他違反の再発を防止するために必要な事項を命ずることができる。 3 前項の命令をする場合において、必要があるときは、次の措置を併せ命ずることができる。 (1) 違反対象商品の回収 (2) 違反対象商品の廃棄処分 4 内閣総理大臣は、第2項の命令をする場合において、必要があるときは、違反事業者に係る許認可官庁に対して、違反事業者の事業の改善命令、営業停止命令、許認可の取り消し等の発動を要請するものとする。 5 内閣総理大臣は、違反事業者に対し、内閣府令の定めるところにより、課徴金の納付を命ずることができる。 6 内閣総理大臣は、前4項の命令をしたときは、その旨を公表するものとする。 第6 消費者等の措置請求 1 消費者、消費者団体、国民生活センター、消費生活センターを含め、何人もこの法律に違反する疑いがあると思料するときは、内閣総理大臣に対し、調査をし、措置をとることを求めることができる。 2 内閣総理大臣は、前項の求めがあったときは、速やかに必要な調査をしなければならない。 3 内閣総理大臣は、前項の調査に基づき必要な措置をとり、又は措置をとらないこととしたときは、速やかに、その旨を第1項の請求者に通知しなければならない。 4 第1項の請求者は、内閣総理大臣が第2項の調査をせず、若しくは必要な措置をとらず、若しくは前項の措置に不服があるとき、又は前項の通知をしないときは、不服申し立てをすることができる。 第7 損害賠償責任 表示義務の不履行、誤認表示等のこの法律に違反する行為によって被害を被った者は、違反行為を行った事業者に対し、損害賠償を求めることができる。この場合において、違反行為を行った事業者は、故意又は過失がなかったことを証明して、損害賠償の責任を免れることができない。 第8 適正表示規約 1 事業者は、この法律に違反する行為を防止するとともに、消費者の自主的で合理的な選択及び事業者間の公正な取引を確保するため、内閣総理大臣の認定を受けて表示の適正化のための規約を設定することができる。 2 内閣総理大臣は、前項の認定に際して、消費者の意見を聴かなければならず、かつ、同項の規約が消費者の利益を害することとなるおそれがある場合は、これを認定してはならない。 3 消費者は、認定された規約が消費者の利益を害すると思料するときは、内閣総理大臣に対し、認定の取り消しを求めることができる。 4 内閣総理大臣は、表示義務の履行、消費者に誤認されるおそれのある表示の禁止等この法律の運用に際して、規約で定めた事項を考慮するものとする。 第9 消費者団体訴訟制度 1 この法律に違反する行為による被害の発生又は拡大を防止するため、違反事業者に対し、違反行為の差止め又は予防を請求するための消費者団体訴訟制度を導入することとする。 2 同制度をより実効あるものとするため、前項の請求のほか、表示すべきことの請求及び損害賠償請求もその対象とするものとする。 第10 罰則 1 次の行為をした者に対して、刑事罰を科する (1) 表示義務の不履行(第2) (2) 虚偽表示、誇大表示その他の消費者を誤認させるおそれのある表示(第4) (3) 行政処分に従わない作為又は不作為(第5-―2,3) (4) 調査拒否又は妨害(第55-―1) 2 法人の代表者、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者がその業務に関して前項の行為をしたときは、法人又は人に対しても刑事罰を科する。 第11 附則 1 JAS法、食品衛生法、健康増進法、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律及び米トレサビリティ法のうち食品についての表示及び表示に係る規格・基準の設定に関する規定は、廃止する。 2 景品表示法、特定商取引法及び不正競争防止法は、食品に関する表示については、適用しない。 |