機能性表示食品の食品表示法違反に関する疑義情報の提供
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消費者庁表示対策課食品表示対策室 御中 | |
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機能性表示食品の食品表示法違反に関する疑義情報の提供
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機能性表示食品として届出された情報の表示について、以下8件について、食品表示法違反だと判断される事項があるため、疑義情報を提供します。適切な措置をお願いいたします。 |
質問事項
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1)A21のキューサイ株式会社「ヒアルロン酸コラーゲン」 疑義の内容 1)届出された臨床試験の論文が査読付きではなく、機能性表示食品の届出等に関するガイドラインに違反しています。 当該商品の機能性の科学的根拠として消費者庁に提出された最終試験を用いた臨床試験に関する論文が掲載された雑誌「グルコサミン研究」は、査読のある雑誌ではなく、投稿規定にあたる「『グルコサミン研究』執筆要項」(添付1)には査読に関する規定がありません。雑誌の出版元である「グルコサミン研究会」の事務局である有限会社エイド出版の担当者も、私の電話による問い合わせに対して「査読のある雑誌ではありません」と認めています。 機能性表示食品の届出等に関するガイドラインでは、商品に表示しようとする機能性の科学的根拠を説明するものとして、最終製品を用いた臨床試験の提出資料については「査読付き論文」であることが条件として記されています(P27)。 査読なしの論文の場合、その科学的信頼性は低く、そうした低いレベルでしか機能性が証明されていない商品が機能性を表示して販売されることになれば、一般消費者の利益が害されることは明らかです。2)掲載雑誌と著者等との間に利益相反による問題が否定できない 機能性表示食品の届出等に関するガイドラインでは、「利益相反による問題が否定できない雑誌への掲載論文を、機能性表示食品の機能性に関わる科学的根拠としてはならない」(P27)と記されています。 当該商品の届出された資料では、届出企業のキューサイ株式会社は「掲載雑誌は、著者等との間に利益相反による問題が否定できる」と主張しています。 しかし実際には以下のような利益相反の疑いが存在します。 提出された論文の筆頭著者である長岡功氏は、掲載雑誌「グルコサミン研究」の編集委員であり、また雑誌の母体である「グルコサミン研究会」の会長でもあります(注1)。また共著者の株式会社TTC(臨床試験委託会社)の山本哲郎氏はグルコサミン研究会の評議員(注2)で、株式会社TTCは賛助会員でもあります。 届出された論文には利益相反に関する情報が記載されていませんが、もしキューサイが、長岡功氏や山本哲郎氏に対して、研究費などで経済的利益関係があった場合、長岡氏や山本氏が掲載誌のグルコサミン研究への論文の掲載に対して何らかの便宜を図った疑いがぬぐえず、利益相反による問題が否定できない状況にあると考えられます」 届出企業、臨床試験受託会社、研究者、雑誌の間に利益相反が存在するような商品が、機能性表示を表示して販売されることになれば、一般消費者の利益が害されることは明らかです。 注1) http://glucosamine.kenkyuukai.jp/special/?id=3442 注2) http://glucosamine.kenkyuukai.jp/special/?id=128803)論文の内容が国際的にコンセンサスを得られた指針に準拠しておらず、機能性があるという証拠としては不十分です。 機能性表示食品の届出等に関するガイドラインでは、臨床試験の論文に関して「国際的にコンセンサスの得られた指針(CONSORT2010声明)に準拠」することを求めています。 ただ「食品表示基準の施行後1年を超えない日までに開始(参加者1例目の登録)された研究については、国際指針に準拠していない形式による報告でも差支えないものとする」という猶予期間的な措置も取られています。 しかし、消費者の利益保護の観点から見ると、この猶予措置の意味は、既存の論文や、すでに開始されている臨床試験など、すでに変更不可能な部分について、一部CONSROT声明に準拠していなくても構わないという点に限定すべきです。CONSORT声明に準拠しておらず、それが原因で、機能性の証拠が著しく損なわれている論文は、猶予期間内であっても、認めるべきではありません。 当該論文では、コラーゲンペプチド含有食品の膝関節痛への効果を検証していますが、なにが主要なアウトカムで、なにが副次的なアウトカムなのかが明示されることなく、「日本整形外科学会OA治療成績判定基準(JOA)」の5項目×4回(4週目、8週目、12週目、16週目)、「日本版変形性膝関節症患者機能評価尺度(JKOM)」5項目×4回、痛みのVAS3項目×4回と52回の検定がくりかえされ、その中でただ1回(安静時のVASの8週目)だけ、設定した有意水準5%で統計的有意差が出たことを根拠に効果ありと考察しています。また4種類の軟骨代謝マーカー、9種類の炎症マーカーの評価は、開始前との比較での有意差であり、群間比較の結果は記載されていません。 有意水準は5%に設定されていますが、統計解析では、測定項目の数を増やして検定を繰り返すと、本当は差が無いのに偶然有意差が出てしまうⅠ型エラーの確率が大きくなります(多重検定の問題)。それを防ぐためにCONSORT声明では、主要なアウトカムと副次的なアウトカムを事前に明示するように求めています。 当該論文では、まさに多重検定の問題を呈していて、52回の検定中のたった1回だけで有意差が出たことを持って機能性の証拠とすることは不適切です。(もう一回JOAスコアの屈曲角度及び強直・高度拘縮の項目で8週目に有意差がついたと発表されていますが、これは有意水準が10%未満(p値<0.1)で、当初設定した5%の二倍となっているので有意差ありと認めるのは妥当ではありません)。 機能性表示食品の届出等に関するガイドラインで求められている機能性の証拠のレベルに達していない商品が、機能性を表示して販売されるようなことになれば、一般消費者の利益が損なわれることは明白です。2)A8の株式会社リコムの「蹴脂粒」 疑義 同一関与成分を使った別の商品(蹴脂茶)が、特定保健用食品として申請され、その安全性評価を行った食品安全委員会が、2015年5月12日に「安全性を評価できない」という評価結果を報告しました。 内容は、企業が考察している作用機序(βアドレナリン受容体への刺激作用)を前提にすれば、同種の受容体をもつ心血管系、呼吸器系、生殖器系など多岐にわたる臓器に影響を及ぼす可能性が否定できないというものです。 食品安全委員会は、企業から提出された資料からは、安全性を確認できないため、作用機序および安全性について科学的に適切な根拠が示されない限り、安全性を評価することはできないというものです。 安全性が懸念され、その検証が不十分であると国の中立的な専門機関が判断した同一成分を使った食品を、機能性を表示して販売するとしたら、一般消費者の利害が害されることになることは明白です。 3)A11 カルピス株式会社の「アミールWATER」 注1) http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/2715.htm 4)A20のロート製薬の「ロートV5錠」 5)A4のキユーピー株式会社の「ヒアロモイスチャー240」 6)A7のファンケルの「えんきん」 7)機能性表示食品として届出されたA1,4,6,12,13,14,15,16,17,18,20,21の商品 8)機能性表示食品として届出されたA5,6,7,11,13,15,19,21の商品の表示 |
以上 |