オーストラリアから日本へ輸出される牛肉への肥育ホルモンと遺伝子組み換え飼料の使用について質問

19FSCW第16号
2019年7月31日
MLA Meat & livestock Australia 御中
食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
オーストラリアから日本へ輸出される牛肉への肥育ホルモンと
遺伝子組み換え飼料の使用について質問
 

私たちは、食の安全問題を調査し、政府や事業者等に様々な意見・要望等を行うことを目的として、2003年に設立された市民団体です。オーストラリアから日本へ輸出される牛肉への肥育ホルモンの使用と遺伝子組み換え飼料について調査しています。
7月10日に放映された、NHKの情報番組「あさイチ」の特集「トコトン追跡!牛肉のウラ側」で、視聴者から輸入牛肉への肥育ホルモンと遺伝子組み換え飼料の使用の有無について質問が寄せられましたが、番組では十分な回答ができず、消費者に不安が残りました。

農畜産物流通コンサルタントの山本健治氏の2016年段階の記事は、豪州の牛肉全生産量の4割程度に肥育ホルモンが使用されていると紹介しています。輸出用牛肉商品へのMLSという格付けでは、肥育ホルモン使用の有無が記載されており、日本は大手商社やスーパー、外食店などが肥育ホルモンの使用を嫌うケースがほとんどであるため、店頭や大手外食チェーンに販売されるものに関してはほぼ肥育ホルモン使用はないという状況であるとも指摘しています。

また、遺伝子組み換え飼料についても、御社のホームページによれば、日本向けに輸出されるオーストラリア産牛肉は、グラスフェッドとグレインフェッドが半々のようです。グレインフェッドでも使用される穀物は、「ソルガム、大麦、小麦」と書かれており、それらの遺伝子組み換え品種はないため、原則、遺伝子組み換え飼料の使用はないのではと考えられます。
しかし、私たちが国内のスーパーを調査した範囲では、オーストラリア産牛肉に関して「肥育ホルモン不使用または、遺伝子組み換え飼料不使用」と明示されたものは、一部を除いてめったに見ることができません。つきましては、以下、質問いたします。お忙しいところ恐縮ですが、8月13日までにご回答いただきたくお願い申し上げます。

 記
1、オーストラリアから日本向けに輸出される牛肉の内、肥育ホルモンを含む肥育促進剤不使用の牛肉の割合を示すデータはありますか。2、また同様に、遺伝子組み換え飼料不使用の牛肉の割合を占めすデータはありますか。

3、日本側の輸入元から、肥育促進剤不使用、または遺伝子組み換え飼料不使用などの条件がつけられることはありますか。ある場合、それに対応することは可能でしょうか。

4、肥育促進剤や遺伝子組み換え飼料が使われていない牛肉を食べたいという消費者が、牛肉商品を選択する場合の目安となるような情報があれば、教えてください。

以上

回答は3者だけ

 回答は豪州食肉家畜生産者事業団と、スーパーではイトーヨーカドー、イオンの2社からだけでした。
 輸出側の豪州食肉家畜生産者事業団は、「ホルモン剤の近年使用割合も全体の33%以下にとどまっており、ホルモン剤不使用の生産者も多くなっております」とのこと。また遺伝子組み換え飼料については、キャノーラ、コットン、サフラワーの3つがあり、遺伝子組み換え穀物の使用、不使用に関しての区別はしていないとの回答でした。
 スーパー側は、イオンは、自社ブランドの「タスマニアビーフ」について、肥育ホルモン、遺伝子組み換え飼料不使用で表示があると回答。一方で、それ以外のオーストラリア牛肉については、イオンもイトーヨーカドーも国の輸入基準に沿って輸入しているとのこと。実質的には肥育ホルモンについては不使用と使用のものが混ざっている、遺伝子組み換え飼料についてはほぼ使用されていると推定されます。店頭で問い合わせたら回答をもらえるかという質問については、イオン、イトーヨーカドー両方とも、「商品仕入れ担当者が輸入先に確認をして後日回答する」とのことでした。
 現状では、特別な表示がないオーストラリア産牛肉は、肥育ホルモン剤の使用については、3分の2 の確率で不使用、遺伝子組み換え飼料はほぼ与えられていると考えられます。